1 展開の開始期では、グループ内での行動は制限せずに援助を行う。
2 グループメンバーへの援助では、各個人の特性を認識して、個別化したアプローチを活用する。
3 グループメンバー間の暗黙の葛藤に対しては、それが表面化しないように働きかける。
4 プログラム活動では、全員が同じ動きを行うことを優先するように求める。
5 サブグループへの対応は、グループ全体への影響を考慮せずに行う。
選択肢1について
開始期とは、メンバーが初めて集まってからグループとして動き始めるまでの段階を指す。毎回の開始期には、前回の内容を一緒に振り返り、今回の目標を明確にすることが重要である。
(社会福祉士養成講座編集委員会編『新・社会福祉士養成講座8 相談援助の理論と方法II』、第2版、中央法規出版(2014)、pp.59-60)
開始期には、グループワーカーはメンバーの緊張をほぐして、メンバー間の相互作用が活発になるように働きかける必要があります。自己紹介を促したり、グループワークの約束事を伝えたり決めてもらったりします。ある程度、ワーカーが主導して流れを作っていく部分なので、メンバーの行動に多少の制限が出ることもあるでしょう。選択肢1は誤りです。
選択肢2について
グループワークでは、個々のメンバーの問題解決や成長が最終目的になる。その目的に向かってメンバーの個別化が重要になる。そのために、共感や受容を通して、個々のメンバーとの信頼関係を築かなければならない。時には、グループから離れた場で個別アプローチを図ることもある。
(同、pp.60-61)
選択肢2は正しいです。
選択肢3について
過去に似たような出題がありました。
1 グループの健全な成長に向けて、メンバー同士の衝突を避け、葛藤を取り上げないようにする。
(選択肢2・3 省略)
4 葛藤の背後には、他者を理解しようとするエネルギーが隠れており、それを引き出してグループが成長する手助けをする。
(選択肢5 省略)
葛藤は避けたり水面下で終わらせたりするものではなく、向き合うものです。選択肢3は誤りです。
選択肢4について
それぞれのメンバーが抱える課題には、共通するところと異なるところが存在する。グループ・ダイナミクスを活性化するためには、その両方を意識化する必要がある。ワーカーは、共通するところを相互援助システム形成の基盤にし、異なるところを確認することで、メンバーが互いの差異に気づき、互いに援助し合うようにはたらきかける。
(前掲書、社会福祉士養成講座編集委員会編『新・社会福祉士養成講座8 相談援助の理論と方法II』、p.62)
メンバーの差異もグループワークの効果に影響する要素なので、全員に同じ動きを要求する必要はありません。選択肢4は誤りです。
選択肢5について
グループ構造上の特徴ともいえるが、グループ内には必ずサブグループができる。ワーカーにはサブグループを適切に取り扱うことが求められる。まずは、サブグループの存在に気づき、グループ全体にどのような影響を及ぼしているのかを見極める。その影響がグループ全体の成長を促すなどよいものであれば、サブグループのリーダーシップを強めることも考えられる。逆に、そのサブグループの存在がグループ活動に支障をきたしているようであれば、リーダーシップを弱める。あるいは、サブグループを解体することや新たなサブグループを意図的につくることも考えられる。
(同、p.61)
サブグループの全体への影響を「考慮しない」と言う選択肢5は誤りです。
正答2