1 インターネット調査は、調査対象がインターネット利用者に限定されるため、目標母集団に照らして、調査漏れが生じやすい。
2 発言の当事者を特定できないインターネット上の掲示板の書き込みは、社会調査の分析対象として活用することができない。
3 国勢調査では、インターネットで回答することができない。
4 調査票調査の自由回答や介護記録の記述など大量の文字データの分析には、コンピューターを活用することができない。
5 国の統計データについては、一つに集約されたポータルサイトが整備されている。
適切なものを「2つ」選ぶ問題です。
選択肢1について
インターネットを活用した調査の場合、サンプルが「インターネット利用者」に限られる。回答者の年代などによってインターネットの利用状況が大きく異なることなどから、標本の代表性を疑問視する指摘もある。(中略)インターネットを用いた調査を実施する場合には、このような点を十分に理解したうえで行うことが求められる。
(社会福祉士養成講座編集委員会編『新・社会福祉士養成講座5 社会調査の基礎』、第3版、中央法規出版(2014)、p.170)
選択肢1は適切です。
選択肢2について
匿名性の高いインターネット掲示板の書き込みも、分析対象として活用することが可能です。ただし、その分析からわかることはインターネット掲示板の特性なので、分析結果を社会全体の特性だと思い込んではいけません。例えば、書き込み日時に注目すれば、略語などの新しい言葉がいつごろから遣われるようになったかわかったり、テレビニュースと比較した情報の伝達速度がわかったりします。選択肢2は適切ではありません。
選択肢3について
前回(2015年10月)の国勢調査から全国でインターネットで回答できるようになりました。選択肢3は適切ではありません。
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選択肢4について
社会福祉分野においてもITがさらに普及していくものと考えられるが、社会調査の観点からIT活用の可能性を検討すると、次の2点があげられる。
1点目は、介護報酬や障害福祉サービス費の請求などにおけるデータの活用である。(中略)
また、2点目としては、支援記録の分析などが考えられる。個別ケースについての詳細な記録や社会福祉にかかわるさまざまな専門職がその経験やスキルを記載した記録についても、分析可能なデータとして使用できる可能性が生まれた。(中略)社会福祉分野の研究でも「テキストマイニング」(text mining)など膨大なテキストデータを分析する研究が次々と発表されている。これまでは伝えられなかった情報をより多くの人々と共有できる有用なデータとして活用できる可能性が生まれている。(同、pp.173-174)
選択肢4は適切ではありません。
選択肢5について
適切です。e-Statという政府統計ポータルサイトがあります。各省庁が発行している白書や資料に掲載されている図表も、元のデータを探すとe-Statにたどり着くことがよくあります。
※参考
e-Stat 政府統計の総合窓口
https://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/eStatTopPortal.do
正答1, 5