職員たちの意欲は高まったが、知識や技術を状況に合わせて使うには不安のある段階では、Fさんは、なぜある行動が望ましいかといった理由を職員たちに説明し、話し合ったり、積極的に質問するように促した。
さらに、職員たちが十分な知識・技術を身につけ、自信も持てるようになった段階になると、Fさんは職員自身が仕事の進め方について考え、決めるよう促した。
このように、部下の習熟度に合わせたリーダーシップ行動の変容に関する理論として、次のうちから最も適切なものを1つ選びなさい。
1 リーダーシップの行動理論
2 状況リーダーシップ(ハーシー(Hersey, P.)とブランチャード(Blanchard, K.)による)
3 PM理論(三隅二不二による)
4 変革型リーダーシップ
5 カリスマ的リーダーシップ
選択肢1について
行動理論の研究は、唯一絶対のリーダーシップ行動を明確にしようとし、一定の結論を導いてきた。
(社会福祉士養成講座編集委員会編『新・社会福祉士養成講座11 福祉サービスの組織と経営』、第4版、中央法規出版(2014)、p.106)
選択肢2について
状況対応型リーダーシップとは、リーダーシップの有効性とは、状況に適合していることが重要であるという考え方である。(中略)ハーシーとブランチャードは、集団のメンバーの成熟度(能力・意欲)とリーダー行動(課題志向か人間関係志向か)の組合せによって、リーダーシップスタイルを4つに分類し、「SL 理論」を提唱した。このモデルに従えば、メンバーの成熟度が低い段階では、「指示・命令口調型」のリーダーシップが有効であり、メンバーの成熟度が増すに従って、「説得型」→「参加型」→「委譲型」へとリーダーシップの有効性が変化するとした。メンバーの成熟度に応じて、リーダーシップスタイルを使い分けることが効果的だという考え方である。
(状況対応型リーダーシップ(SL)、産業能率大学総合研究所ホームページ、http://www.hj.sanno.ac.jp/cp/page/10463)
選択肢3について
三隅二不二は、リーダーの行動をP(performance)行動とM(maintenance)行動の二軸から説明した。P行動とは、規則に従わせる、指示命令、時間を守る、報告を求める、目標達成といった行動であり、M行動とは、気軽に話し合う、指示する、気を配る、信頼する、意見を求めるといった行動である。
(社会福祉士養成講座編集委員会編『新・社会福祉士養成講座11 福祉サービスの組織と経営』、第4版、中央法規出版(2014)、p.105)
選択肢4・5について
1980年代から1990年代にかけて、新たに「変革型リーダーシップ」あるいは「カリスマ的リーダーシップ」に関する理論が生まれた。これらは、進むべき目標(ビジョン)を示し、自らがリスクを背負い、並はずれた行動をとる一方で、条件や環境に適合し、フォロワーの能力や感情に配慮できるリーダーシップを指している。
(同、p.107)
問題の「部下の習熟度に合わせたリーダーシップ行動の変容に関する理論」は、状況リーダーシップ(選択肢2)です。
正答2