第24回 問題94

第24回 問題94 相談援助におけるアセスメントツールに関する次の記述のうち、正しいものを一つ選びなさい。
1 ソシオグラムとは、成員間の選択・拒否関係を図式化して、小集団における人間関係の構造を明らかにするためのものである。
2 MDS(Minimum Data Set)とは、支援の対象となる地域の課題解決に向けて、その課題を客観的に測定するためのものである。
3 エコマップとは、白地図に物的資源を記入して、クライエントと自然環境の関係を明らかにするためのものである。
4 PIE(Person-in-Environment)とは、クライエントが担ってきた役割や経歴上の出来事を取り上げて、その人生行路を観察するためのものである。
5 ジェノグラムとは、クライエントに樹木の絵を描かせて、家族における世代間の関係を理解するためのものである。

選択肢1・3・5について
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ジェノグラム、エコマップ、ソシオグラム
ジェノグラム、エコマップ、ソシオグラムは、いずれも対象者の置かれた状況をわかりやすく可視化するアセスメントツールです。 ジェノグラムは...

詳しくは上記の記事に書きました。選択肢1(ソシオグラムの説明)は正しいです。選択肢3・5(エコマップ・ジェノグラムの説明)は誤りです。

選択肢3は、「エコ」マップに関係しそうな「自然環境」という単語を持ち出してひっかけようとしているのでしょうか?(^_^;)

選択肢5は、「家族における世代間の関係を理解するためのもの」というのは正しいと思うのですが、「クライエントに樹木の絵を描かせて」の部分だけは性格検査の一種バウムテストの説明に見えます。バウムはドイツ語で「木」(バウムクーヘンのバウム)です。

選択肢2について
MDSは、高齢者をアセスメントするためのもので、地域の課題を測定するものではありません。選択肢2は誤りです。

現在介護施設や在宅などで広く用いられているMDS(Minimum Data Set)方式は、“切れ目のないケア”を提供するためのアセスメントとして最適である。その理由として、MDS方式は多職種による利用を前提に開発されており、施設版(MDS2.1)と在宅版(MDS-HC2.0)の基本アセスメント項目を同じにするなど、職種間・サービス間の連携を容易にする設計になっていることが挙げられる。
このたびMDS方式は内容が刷新され、「インターライ方式」と改称された。

(天野貴史・石橋智昭・池上直己、インターライ方式の特徴と利点、特定非営利活動法人インターライ日本ホームページ、http://interrai.jp/tokubetsukiji/intro

インターライ方式は、国際的な研究組織であるinterRAIによって、それまでのMDS方式のすべての版を再構築するかたちで、2009年に開発されたアセスメント方式である。

(同、http://interrai.jp/tokubetsukiji/interrai

日本版インターライ方式についてのマニュアルは2011年11月から刊行されているそうで、第24回の国家試験(2012年1月末実施)の問題が作成されるころはMDSの最後の時期だったということになります。

選択肢4について
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PIE(Person-in-Environment)
相談援助のアセスメントツールのひとつ、PIE(Person-in-Environment)。直訳すると「環境の中の人」となりますが、ここは「...

詳しくは上記URLの記事に書きましたが、PIEはクライエントの抱える問題を記述するための、ソーシャルワーク用の「言語」として作られた分類基準です。人生を振り返るものではなく、いまどういう状態かを記述するものです。選択肢4は誤りです。

第24回国家試験 問題94(相談援助の理論と方法)
正答1
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