検察官送致(逆送致)

愛知県名古屋市で女性が殺害された事件、宮城県で同級生2人が硫酸タリウムを飲まされた事件がありました。殺人・殺人未遂などの非行内容で家裁送致された19歳の少女について、名古屋家裁は検察官送致(逆送致、逆送)の決定をしました。

「逆」というのは、もともと検察から送致されてきた少年を、家裁が検察へ送り返す、という意味で「逆」です。

根拠となるのは少年法第20条です。

第二十条  家庭裁判所は、死刑、懲役又は禁錮に当たる罪の事件について、調査の結果、その罪質及び情状に照らして刑事処分を相当と認めるときは、決定をもつて、これを管轄地方裁判所に対応する検察庁の検察官に送致しなければならない。
2  前項の規定にかかわらず、家庭裁判所は、故意の犯罪行為により被害者を死亡させた罪の事件であつて、その罪を犯すとき十六歳以上の少年に係るものについては、同項の決定をしなければならない。ただし、調査の結果、犯行の動機及び態様、犯行後の情況、少年の性格、年齢、行状及び環境その他の事情を考慮し、刑事処分以外の措置を相当と認めるときは、この限りでない。

(少年法第20条)

第2項によって、16歳以上で重大非行をした少年は原則として逆送致されることになっています。

今回の少女は19歳なので、原則通り逆送致されたということでしょう。このあと、成人と同様に、検察から起訴され、地方裁判所で刑事裁判を受けます。殺人が含まれているので、裁判員裁判になるようです。

ちなみに、非行少年とは、刑罰法令に規定する罪を犯した少年または犯すおそれのある少年のこと。犯罪少年、触法少年、虞犯(ぐはん)少年の3種類があります。

第三条  次に掲げる少年は、これを家庭裁判所の審判に付する。
一  罪を犯した少年
二  十四歳に満たないで刑罰法令に触れる行為をした少年
三  次に掲げる事由があつて、その性格又は環境に照して、将来、罪を犯し、又は刑罰法令に触れる行為をする虞のある少年
イ 保護者の正当な監督に服しない性癖のあること。
ロ 正当の理由がなく家庭に寄り附かないこと。
ハ 犯罪性のある人若しくは不道徳な人と交際し、又はいかがわしい場所に出入すること。
ニ 自己又は他人の徳性を害する行為をする性癖のあること。

(少年法第3条第1項)

非行少年に対する手続きの流れは、犯罪白書にカラーで掲載されている図がweb上で見られます。

平成26年版 犯罪白書 第3編/第2章/第1節に掲載の3-2-1-1図は【こちら】

(国家試験での出題)
29-150(選択肢5)28-150(選択肢4)、24-147

広告
広告
広告

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

広告
広告