第28回 問題41 その2

第28回国家試験で、公式に解答不要(全員に加点)とされた問題以外に、「正答なし」という予想解答がある問題です。

※予想解答はあくまでも「予想」なので、公式正答がどうなるかは3月15日までわかりません。この記事は個人の感想です。

第28回 問題41 日常生活自立支援事業(旧地域福祉権利擁護事業)に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 日常生活自立支援事業の開始当初は、知的障害者は利用対象外であった。
2 相談開始から契約締結前の初期相談までの相談支援は、有料である。
3 実施主体は、地域包括支援センターである。
4 病院に入院した場合には、利用できない。
5 成年被後見人は利用できない。

※関連記事

第28回 問題41 その1
第28回国家試験で、公式に解答不要(全員に加点)とされた問題以外に、「正答なし」という予想解答がある問題です。 ※予想解答はあくまでも...

「その1」の記事を書いてから、弁護士さんと話す機会があったので、成年後見の実際の担当ケースについて尋ねてみました。その弁護士さんの場合、後見人も保佐人も補助人もやっているそうですが、担当しているケースの中に日常生活自立支援事業を契約している被後見人はいないということでした。かなり判断能力が落ちている人でも保佐(ただしほぼ全部の代理権がつく)というケースが多く、被後見人となると日常生活自立支援事業で毎週お金を渡されても買い物もできないくらいの人だという話でした。

そこで、もし、併用しようとすれば被後見人でも日常生活自立支援事業を利用できるのだろうか?という話をして、選択肢5についてきいてみました。

いわく「被後見人ご本人は契約ができないので、日常生活自立支援事業についても成年後見人が契約することになる。だとしたら、その状況は『成年被後見人は利用できない』ということになるのでは?」

あ、そういう、知識というよりは日本語の言い回しの問題だったのでしょうかコレ?!

確かに、「その1」で資料として挙げた大阪府社会福祉協議会の資料でも、契約をするのは(被後見人ではなく)成年後見人と書いてあります。

法定代理人である成年後見人との間で利用契約の締結が可能である。これまで日常生活自立支援事業の利用経験がなかった場合でも、事業の既契約者が成年後見制度を利用するに至った場合でも可能である。

(大阪府社会福祉協議会、成年後見制度 市町村申し立ての手引き(平成26年3月改訂版)、http://www.osakafusyakyo.or.jp/kouken/tebiki/tebiki05.pdf

選択肢5が「成年後見制度と併用することもある」とか「成年被後見人は契約できない」とか書いてくれれば迷わないんですが、「成年被後見人は利用できない」…微妙!!

公式正答は合格発表のときまで出ませんので、この問題が公式に「正答なし」になるかどうかはわかりません。もし公式正答が「ある」ということになったら、たぶん5かなと思います。理由は「その1」で書いたときと変わらず、次の2点です。
・5だけは厚生労働省や全社協など、制度運用の取りまとめ役的な存在が「できる」と書いている資料が見当たらない
・(実践上はどうあれ)基本的な考え方として、日常生活自立支援事業は利用契約の意味がわかる程度の判断能力がある人が対象ということになっている(成年被後見人にはその判断能力がないと考えられる)

※2016年3月15日追記
公式正答の発表がありました。正答は「5」です。

第28回国家試験 問題41(地域福祉の理論と方法)
正答5
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