第28回 問題88

第28回 問題88 グループインタビューに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 対象者の選定は、有意標本抽出によって行われる場合が多い。
2 参加者間の相互作用が起こらないように、司会者が気をつける。
3 記録係は、参加者の非言語的反応について記録をする必要はない。
4 一度に参加する人数は、多いほど良い。
5 質問は、参加者が明確に回答できるように選択式を基本とする。

※関連記事

個別インタビューとグループインタビュー
個別インタビュー(個別面接)とグループインタビュー(グループ面接、集団面接)との違いは、文字通り「個別」か「グループ」かの違いです。 ...

選択肢1について
有意標本抽出というのは、確率的な手法によらず、何かしらの基準で調査対象(標本)を選ぶことです。調査目的にもよるとは思いますが、グループインタビューをするのであれば、何かしらの基準をもって調査対象者を選ぶことが多いです。調査テーマに関心があるとか、何かの経験があるとか、性別や年齢も基準になりえます。選択肢1は適切です。

選択肢2について
グループインタビューでは、調査対象者は同じグループの他の調査対象者の回答をきくことになるので、「そう言えば私もそう思っていた」「それに関しては私はこう思っている」というふうに、相互作用によって活発な意見が出やすいというメリットがあります。司会者が参加者間の相互作用が起こらないようにすると、せっかくのグループインタビューのメリットがなくなります。選択肢2は適切ではありません。

選択肢3について
「非言語的反応」というのは、例えば「笑顔で早口」「顔をしかめながら話す」「一瞬言葉につまる」「あくびをする」など、発言する言葉以外の様子のことです。
(例)
A:照れたように「もう、困ってるんです」と笑う
B:嫌そうな顔で「もう、困ってるんです」と怒鳴る
言っている言葉は同じでも、Aは冗談のような印象ですが、Bは何やら深刻そうだとわかります。

調査の目的などによってはグループインタビューで非言語的反応を記録する必要がない場合もあるかもしれませんが、少なくとも選択肢3のように「記録をする必要はない」と断定はできません。選択肢3は適切ではありません。

選択肢4について
常識的に考えてもわかると思いますが、参加人数が多ければよいというものではありません。仮に100人でグループインタビューをしたら1人30秒の発言でも全員が1回発言するだけで1時間近くかかります。インタビュイーは他の参加者の発言内容を99種類も覚えていられませんし、インタビュアーも誰が発言したことだったか記録に混乱が生じるでしょう。選択肢4は適切ではありません。

選択肢5について
グループインタビューで選択式の質問をすることもあるでしょうが、選択式の質問が「基本」となるような調査であれば、質問紙法のほうが現実的でしょう。グループインタビューは、インタビュイーどうしの相互作用が一番のメリットなので、回答の選択肢を限定せず、活発に意見が出るほうがよいです。選択肢5は適切ではありません。

第28回国家試験 問題88(社会調査の基礎)
正答1
広告
広告
広告

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

広告
広告