第28回 問題92

第28回 問題92 2014年の「ソーシャルワークのグローバル定義」に関する次の記述のうち、適切なものを1つ選びなさい。
1 ウェルビーイングの増進を目指して、人間関係の問題解決を図ることが新たに加えられた。
2 ソーシャルワークは、専門職であるとともに政策目標であることが明示された。
3 これまで過小評価されてきた地域・民族固有の知を認めるものとなっている。
4 先進国の意見や実情を考慮し、マクロレベルの社会政策と社会開発を重視している。
5 西洋における集団主義重視への懸念が示された。
(注)「ソーシャルワークのグローバル定義」とは、2014年7月の国際ソーシャルワーカー連盟(IFSW)と国際ソーシャルワーク学校連盟(IASSW)の総会・合同会議で採択されたものを指す。

「ソーシャルワークのグローバル定義(2014年7月)」はIFSWのホームページに原文があるほか、各国語版へのリンクも用意されています。

Global Definition of Social Work
http://ifsw.org/get-involved/global-definition-of-social-work/

同、日本語版
http://cdn.ifsw.org/assets/ifsw_64633-3.pdf

ソーシャルワーク専門職のグローバル定義
ソーシャルワークは、社会変革と社会開発、社会的結束、および人々のエンパワメントと解放を促進する、実践に基づいた専門職であり学問である。社会正義、人権、集団的責任、および多様性尊重の諸原理は、ソーシャルワークの中核をなす。ソーシャルワークの理論、社会科学、人文学、および地域・ 民族固有の知を基盤として、ソーシャルワークは、生活課題に取り組みウェルビーイングを高めるよう、人々やさまざまな構造に働きかける。
この定義は、各国および世界の各地域で展開してもよい。

(Global Definition of Social Work(Version in Japanese)、IFSWホームページ、http://cdn.ifsw.org/assets/ifsw_64633-3.pdf

選択肢1について
以前のソーシャルワークの定義は次の通りです。

「ソーシャルワーク専門職は、人間の福利(ウェルビーイング)の増進を目指して、社会の変革を進め、人間関係における問題解決を図り、人びとのエンパワーメントと解放を促していく。
ソーシャルワークは、人間の行動と社会システムに関する理論を利用して、人びとがその環境と相互に影響し合う接点に介入する。
人権と社会正義の原理はソーシャルワークの拠り所とする基盤である。」
国際ソーシャルワーカー連盟(IFSW)
モントリオール総会採択(2000年7月)
社会福祉専門職団体協議会定訳(2001年1月)

(社会福祉専門職団体協議会(社専協)国際委員会、「ソーシャルワークのグローバル定義」 改訂の10のポイント、日本社会福祉士会ホームページ、http://www.jacsw.or.jp/06_kokusai/IFSW/files/SW_teigi_kaitei.pdf)

これを読めばわかるとおり、「ウェルビーイングの増進を目指して、人間関係の問題解決を図る」ということは以前の定義にも含まれていました。「新たに加えられた」とする選択肢1は適切ではありません。

選択肢2について
2014年の定義では、ソーシャルワークは「専門職であり学問である」とされています。「専門職であり政策目標」と言う選択肢2は適切ではありません。

選択肢3について
2014年の定義では、「地域・民族固有の知」という言葉が新たに盛り込まれました。定義の注釈の中で、これまで過小評価されていたという記述もあります。選択肢3は適切です。

この定義は、ソーシャルワークは特定の実践環境や西洋の諸理論だけでなく、先住民を含めた地域・民族固有の知にも拠っていることを認識している。植民地主義の結果、西洋の理論や知識のみが評価され、地域・民族固有の知は、西洋の理論や知識によって過小評価され、軽視され、支配された。この定義は、世界のどの地域・国・区域の先住民たちも、その独自の価値観および知を作り出し、それらを伝達する様式によって、科学に対して計り知れない貢献をしてきたことを認めるとともに、そうすることによって西洋の支配の過程を止め 、反転させようとする。ソーシャルワークは、世界中の先住民たちの声に耳を傾け学ぶことによって、西洋の歴史的な科学的植民地主義と覇権を是正しようとする。

(同)

選択肢4・選択肢5について
2014年のグローバル定義にも、注釈にも、該当する記述は見当たりません。選択肢4・5は適切ではありません。

第28回国家試験 問題92(相談援助の基盤と専門職)
正答3
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