1 目的には、社会参加の促進は含まれない。
2 対象には、個人は含まれない。
3 内容には、ソーシャルアドミニストレーションが含まれる。
4 展開過程には、学習会や調査などによる問題と要求の明確化が含まれる。
5 形態には、自らの課題を克服し、要求を実現する組織化は含まれない。
選択肢1について
現代社会福祉辞典によれば、ソーシャルアクションは次のように定義されています。
「社会的に弱い立場にある人の権利擁護を主体に、その必要に対する社会資源の創出、社会参加の促進、社会環境の改善、政策形成等、ソーシャルワーク過程の重要な援助および支援方法の一つである」※2。
(中略)
※2 野口定久『現代社会福祉辞典』有斐閣(CD版)2003年(中島康晴、ソーシャルワーカーが担うべきソーシャルアクションの実践形態、地域ケアリング、2014年6月号、北隆館、pp.13-25、http://npokizuna.sub.jp/tiikicaring14062.pdf)
原典を確認していないので孫引きになってしまいますが、辞典の定義の中に「社会参加の促進」が含まれているようです。「含まれない」と言う選択肢1は適切ではありません。
ちなみに、インターネットで「ソーシャルアクション 社会参加の促進」と検索すると、上記の辞典の説明文と全く同じ文章がいろいろなところでヒットします。個人のホームページや、質問サイトの匿名回答などに全く同じ文章が載っているので、どこかに元になる文章があるらしいことはすぐにわかったのですが、出典を明らかにしていないものが多くててこずりました(´・ω・`)
選択肢2について
ソーシャルアクションの「対象」というのは、当事者や支援者が改善を求めて働きかける相手です。行政とか制度といった、個人以外の対象に働きかけることもありますが、近隣住民や施設の管理者など、個人に対して働きかけることもあります。対象に「個人は含まれない」としている選択肢2は適切ではありません。
選択肢3について
ソーシャルアドミニストレーション(社会福祉運営管理)と、ソーシャルアクション(社会活動法)は、いずれも間接援助技術のひとつで、片方が他方を含むという関係ではありません。ソーシャルアドミニストレーションがソーシャルアクションに含まれると言う選択肢3は適切ではありません。
※関連記事
ソーシャルワークの技術
http://whitecatnote.seesaa.net/article/415840806.html
選択肢4について
ソーシャルアクションの展開過程は、以下の六つの局面からなるとされている。
①主導集団(イニシアティヴ・グループ)もしくは運動体の形成(中略)
②問題の把握、要求の明確化(中略)
③解決されるべき問題の限定と行動計画の立案(中略)
④支持層、支援層の拡大(中略)
⑤直接行動の展開(中略)
⑥総括・新たな問題提起(後略)(社会福祉士養成講座編集委員会編『新・社会福祉士養成講座8 相談援助の理論と方法II』、第2版、中央法規出版(2014)、p.101)
選択肢4は適切です。
選択肢5について
ソーシャルアクションは、①住民運動や市民運動として、住宅地の中にある工場の公害問題等、住民の身近な生活問題への行動として起こされる住民組織型、②福祉問題を共有する人たちの組織化や権利要求の行動として起こされる当事者組織型、③保健・医療・福祉のネットワークづくりなどの専門家組織型、④地域福祉計画の作成による行政、保健・医療・福祉の連携を図る統合組織型などの形態があるとされている。
(同、pp.116)
「組織化は含まれない」とする選択肢5は適切ではありません。
正答4