第27回 問題113

第27回 問題113 自助グループに関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 自助グループの特質は、同様の生活課題をもつ人が集まり相互に助け合うところにあり、行政への要求運動に発展することはない。
2 自助グループは、専門職や専門機関の援助を継続的に受けることで成り立ち、同じ問題を抱えた人が、グループの力を使って問題解決を図るものである。
3 自助グループの活動は、グループワーカーとメンバーの関係、プログラム活動及び社会資源の三要素を使って展開される。
4 自助グループは、メンバー間の対等な相互支援関係があることでメンバーの自己肯定感を高めるなどの機能がある。
5 自助グループでは、ヘルパー・セラピー原則が起こらないように注意する必要がある。

選択肢1について

当事者側からの政策提言を行うことなどは当事者組織の重要な役割とみなされている。
(社会福祉士養成講座編集委員会編『新・社会福祉士養成講座8 相談援助の理論と方法II』、第2版、中央法規出版(2014)、p.66)

自助グループと当事者組織については、前者が小集団性を強調するのに対して、後者は前述したように組織としての福祉・保険・医療サービス利用者という立場からソーシャルアクションを強調するといった違いはあるものの、実際には一つの団体が自助グループでもあり、当事者組織でもあるという場合が大半であろう。
(同、p.67)

自助グループの活動から行政への要求運動に発展することもありえます。選択肢1は適切ではありません。

選択肢2について
自助グループの類似概念として、グループワークのグループ、サポートグループというものがあります。中央法規出版のテキストでは、専門職との距離感に着目してこの3種類のグループを区別しています。
グループワークのグループ:専門職が毎回欠かさず出席している。たとえ専門職の発言がごく少なくても、専門職がいないとメンバーが不安を感じるようなグループ。
サポートグループ:特定の専門機関の間接的な支援を恒常的に受けているグループ。病院の患者会など。メンバーは、専門機関の利用者または過去に利用者だった者に限られる場合が多い。
自助グループ:

自助グループでは、専門職の支援はほとんどないか、自助グループが求めたときのみ与えられる。
(同、p.67)

選択肢2は、「専門職や専門機関の援助を継続的に受けることで成り立ち」という部分が適切ではありません。

選択肢3について

グループワークの援助媒体
援助媒体とは、援助目標を達成するために活用する手段や道具のことである。グループワークの援助媒体は以下のとおりである。
ワーカーとメンバーの対面的関係(中略)
メンバー間の相互作用(中略)
プログラム活動(中略)
社会資源(後略)
(同、pp.57-58)

選択肢3は、グループワークの援助媒体4種類のなかから3つを抜き出したものです。自助グループを説明する文としては適切ではありません。

選択肢4について
正しいです。

選択肢5について
「ヘルパー・セラピー原則」とは、「援助する人が(結果的に)援助される人よりも多くを得る」という話です。自助グループの1つの側面であって、抑え込む必要はありません。選択肢5は適切ではありません。第17回国家試験で出題があったようですが、旧カリキュラム時代の試験ですし、知らなくても当たり前のことだと思います。

第27回国家試験 問題113(相談援助の理論と方法)
正答4
広告
広告
広告

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

広告
広告