1 少年院からの仮退院者や児童自立支援施設からの退所者には保護観察が付される。
2 少年事件の保護観察を実施する期間は児童相談所であり、そこには保護観察官が配属されている。
3 犯罪をした者及び非行のある少年に対し、矯正施設や社会内において適切な処遇を行うことにより改善更生を助けることが保護観察の目的である。
4 保護観察官が指導監督、保護司が補導援護を行う役割分担を行っている。
5 法務大臣が指定する施設などにおいて、一定期間の宿泊の継続とそこでの指導監督を受けることが特別遵守事項の一つとされている。
選択肢1について
保護観察の対象者は5種類ありますが、その中に「児童自立支援施設からの退所者」は含まれていません。選択肢1は誤りです。
保護観察は、保護観察官と保護司が協働して、指導監督と補導援護を行います。 対象者→1)保護観察処分少年 2)少年院仮退院者 3)仮釈放者 4)保護観察付執行猶予者 5)婦人補導院仮退院者。1)~ 4)は更生保護法第48条第1号~第4号、5)は売春防止法第26条第1項に基づきます。
— 虎猫@CSW (@tabbycatnote) 2016年1月8日
選択肢2について
保護観察は、対象者が少年であっても、保護観察所が管轄します。
第六十条 保護観察は、保護観察対象者の居住地(住居がないか、又は明らかでないときは、現在地又は明らかである最後の居住地若しくは所在地)を管轄する保護観察所がつかさどる。
(保護観察法第60条)
選択肢2は誤りです。
選択肢3について
保護観察とは,犯罪をした人または非行のある少年が,社会の中で更生するように,保護観察官及び保護司による指導と支援を行うものです。
刑務所等の矯正施設で行われる施設内でのしょぐう[原文ママ]に対し,施設外,つまり,社会の中で処遇を行うものであることから,「社会内処遇」と言われています。(保護観察所 1保護観察とは、法務省ホームページ、http://www.moj.go.jp/hisho/seisakuhyouka/hisho04_00040.html)
保護観察は「社会内処遇」だけです。「矯正施設や」という文言が入っている選択肢3は誤りです。
選択肢4について
過去に、似たような出題がありました。
(選択肢1から3 省略)
4 保護観察官は指導監督を行い、保護司は補導援護を行うといった役割分担が更生保護法に明記されている。
(選択肢5 省略)
更生保護法には役割分担の記述はありません。保護観察官と保護司は協力して保護観察にあたります。選択肢4は誤りです。
選択肢5について
更生保護法第51条第2項第5号に、選択肢5の内容が書かれています。特別遵守事項は「保護観察対象者の改善更生のために特に必要と認められる範囲内において」定めるものなので、いつも必ず「一定期間の宿泊継続と指導監督を受けること」が特別遵守事項に入るわけではありませんが、特別遵守事項の一つとしてこの事項があることは確かです。選択肢5は正しいです。
第五十一条 保護観察対象者は、一般遵守事項のほか、遵守すべき特別の事項(以下「特別遵守事項」という。)が定められたときは、これを遵守しなければならない。
2 特別遵守事項は、次条の定めるところにより、これに違反した場合に第七十二条第一項、刑法第二十六条の二 及び第二十九条第一項 並びに少年法第二十六条の四第一項 に規定する処分がされることがあることを踏まえ、次に掲げる事項について、保護観察対象者の改善更生のために特に必要と認められる範囲内において、具体的に定めるものとする。
一 犯罪性のある者との交際、いかがわしい場所への出入り、遊興による浪費、過度の飲酒その他の犯罪又は非行に結び付くおそれのある特定の行動をしてはならないこと。
二 労働に従事すること、通学することその他の再び犯罪をすることがなく又は非行のない健全な生活態度を保持するために必要と認められる特定の行動を実行し、又は継続すること。
三 七日未満の旅行、離職、身分関係の異動その他の指導監督を行うため事前に把握しておくことが特に重要と認められる生活上又は身分上の特定の事項について、緊急の場合を除き、あらかじめ、保護観察官又は保護司に申告すること。
四 医学、心理学、教育学、社会学その他の専門的知識に基づく特定の犯罪的傾向を改善するための体系化された手順による処遇として法務大臣が定めるものを受けること。
五 法務大臣が指定する施設、保護観察対象者を監護すべき者の居宅その他の改善更生のために適当と認められる特定の場所であって、宿泊の用に供されるものに一定の期間宿泊して指導監督を受けること。
六 善良な社会の一員としての意識の涵養及び規範意識の向上に資する地域社会の利益の増進に寄与する社会的活動を一定の時間行うこと。
七 その他指導監督を行うため特に必要な事項(更生保護法第51条)
特別遵守事項を全部覚えていて迷わず5を選べればよいですが、実際には1~4の誤りを見つけて消去法で5を選ぶ人が多いのではないかと思います。
正答5
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