第28回 問題131

第28回 問題131 介護保険制度における介護報酬(介護給付費)と利用者負担に関する次の記述のうち、正しいものを1つ選びなさい。
1 介護報酬の1単位の単価は、全国一律に定められ、地域による割増しはない。
2 介護報酬の算定基準を厚生労働大臣が定める際には、あらかじめ内閣総理大臣の意見を聴かなければならない。
3 居宅介護サービスにおける支給限度基準額を超えて介護サービスを利用する場合には、その超えた費用は全額が利用者負担となる。
4 施設サービスにおける食費と居住費は、生活保護の被保護者を除き、市町村民税非課税世帯などの低所得者も全額の自己負担が求められる。
5 介護報酬は、2年に1回改定される。

選択肢1について

「1単位の単価」は原則10円であるが、(中略)サービス提供事業所または施設の所在地およびサービスの種類に応じて、(中略)割増がなされている。

(社会福祉士養成講座編集委員会編『新・社会福祉士養成講座13 高齢者に対する支援と介護保険制度』、第3版、中央法規出版(2013)、p.164)

割増は「ある」が正しいので、選択肢1は誤りです。

なお2015(平成27)年度の介護報酬改定後の「1単位の単価」については厚生労働省ホームページにPDFファイルが掲載されています。

厚生労働大臣が定める一単位の単価 、平成27年度介護報酬改定について、厚生労働省ホームページ、http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/0000080834.pdf

選択肢2について

介護報酬は、介護保険法上、厚生労働大臣が社会保障審議会(介護給付費分科会)の意見を聞いて定めることとされている。

(介護報酬について、厚生労働省ホームページ、http://www.mhlw.go.jp/topics/kaigo/housyu/housyu.html

「内閣総理大臣」の意見を聞かなくてはならないとしている選択肢2は誤りです。

選択肢3について

(参考)区分支給限度基準額について
○在宅サービスについて、利用者の状況に応じた適正なサービスを提供する観点から、必要な居宅介護サービスのモデルを用いて、要介護度毎に区分支給限度基準額を設定。
→支給限度額を超えるサービスを受けた場合、超える分の費用は全額利用者負担。

(厚生労働省老健局総務課、公的介護保険制度の現状と今後の役割、厚生労働省ホームページ、http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12300000-Roukenkyoku/201602kaigohokenntoha.pdf、スライド23(スライド番号22))

選択肢3は正しいです。

選択肢4について

補足給付(低所得者の食費・居住費の負担軽減)の仕組み
○食費・居住費について、利用者負担第1~第3段階の方を対象に、所得に応じた負担限度額を設定
○標準的な費用の額(基準費用額)と負担限度額との差額を介護保険から特定入所者介護サービス費として給付

(同、スライド26(スライド番号25))

低所得者に対しては施設サービスにおける食費と居住費の負担を軽減する仕組みがあります。「全額の自己負担が求められる」と言う選択肢4は誤りです。

選択肢5について

介護報酬は3年ごとに見直されている。

(社会福祉士養成講座編集委員会編『新・社会福祉士養成講座13 高齢者に対する支援と介護保険制度』、第3版、中央法規出版(2013)、p.164)

介護保険法で、市町村は3年を1期とする介護保険事業計画を定めることになっており(介護保険法第117条)、都道府県は3年を1期とする介護保険事業支援計画を定めることになっています(同法第118条)。また、市町村は第一号被保険者の保険料率を決めて保険料を徴収しますが、その保険料率は「おおむね三年を通じ財政の均衡を保つことができるものでなければならない」とされています(同法第129条)。計画や保険料率の見通しが3年ごとなので、それらに関わる介護報酬の改定も3年ごとにすることになっていて、「介護報酬を3年ごとに改定しなくてはならない」という法律条文はありません。

「2年に1回」改定されるとしている選択肢5は誤りです。ちなみに2年ごとに改定される報酬といえば、診療報酬です。

第28回国家試験 問題131(高齢者支援と介護保険制度)
正答3
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