1 1号観察は家庭裁判所が決定するが、2号観察は少年院の長が決定する。
2 対象者が成績良好の場合、1号観察には仮解除や解除といった良好措置があるが、2号観察には良好措置はない。
3 対象者が遵守事項に違反した場合、1号観察も2号観察も地方更生保護委員会の決定により少年院に収容されることになる。
4 1号観察も2号観察も、対象者が成人(20歳)に達した後でも行われることがある。
5 1号観察では一般遵守事項しか付されないが、2号観察では一般遵守事項に加えて特別遵守事項が必ず付される
1号・2号という名称は、それぞれの保護観察の対象者(今回は保護観察処分少年と少年院仮退院者)が更生保護法第48条第1項の第1号・第2号で定められていることによります。
選択肢1について
第二十四条 家庭裁判所は、前条の場合を除いて、審判を開始した事件につき、決定をもつて、次に掲げる保護処分をしなければならない。ただし、決定の時に十四歳に満たない少年に係る事件については、特に必要と認める場合に限り、第三号の保護処分をすることができる。
一 保護観察所の保護観察に付すること。
二 児童自立支援施設又は児童養護施設に送致すること。
三 少年院に送致すること。
(少年法)
第四十一条 地方委員会は、保護処分の執行のため少年院に収容されている者について、少年院法 (平成二十六年法律第五十八号)第十六条 に規定する処遇の段階が最高段階に達し、仮に退院させることが改善更生のために相当であると認めるとき、その他仮に退院させることが改善更生のために特に必要であると認めるときは、決定をもって、仮退院を許すものとする。
(更生保護法)
1号観察は家庭裁判所が決定します。2号観察は地方更生保護委員会が決定します。選択肢1は誤りです。
選択肢2について
第六十九条 保護観察所の長は、保護観察処分少年について、保護観察を継続する必要がなくなったと認めるときは、保護観察を解除するものとする。
第七十条 保護観察所の長は、保護観察処分少年について、その改善更生に資すると認めるときは、期間を定めて、保護観察を一時的に解除することができる。
(同)
第七十四条 地方委員会は、少年院仮退院者について、保護観察所の長の申出があった場合において、保護観察を継続する必要がなくなったと認めるとき(二十三歳を超える少年院仮退院者については、少年院法第百三十九条第一項 に規定する事由に該当しなくなったと認めるときその他保護観察を継続する必要がなくなったと認めるとき)は、決定をもって、退院を許さなければならない。
(同)
1号観察にも、2号観察にも、良好措置はあります。選択肢2は誤りです。
選択肢3について
第六十七条 保護観察所の長は、保護観察処分少年が、遵守事項を遵守しなかったと認めるときは、当該保護観察処分少年に対し、これを遵守するよう警告を発することができる。
2 保護観察所の長は、前項の警告を受けた保護観察処分少年が、なお遵守事項を遵守せず、その程度が重いと認めるときは、少年法第二十六条の四第一項 の決定の申請をすることができる。
(同)
第二十六条の四 更生保護法 (平成十九年法律第八十八号)第六十七条第二項 の申請があつた場合において、家庭裁判所は、審判の結果、第二十四条第一項第一号の保護処分を受けた者がその遵守すべき事項を遵守せず、同法第六十七条第一項 の警告を受けたにもかかわらず、なお遵守すべき事項を遵守しなかつたと認められる事由があり、その程度が重く、かつ、その保護処分によつては本人の改善及び更生を図ることができないと認めるときは、決定をもつて、第二十四条第一項第二号又は第三号の保護処分をしなければならない。
(少年法)
1号観察の対象者が遵守事項に違反した場合、保護観察所長から決定の申請→家庭裁判所の決定という手順を踏んで、少年法第24条第1項の第2号(児童自立支援施設又は児童養護施設に送致)または第3号(少年院に送致)の保護処分がなされます。決定するのは地方更生保護委員会ではありませんし、必ず少年院に収容されるとも限りません。
第七十一条 地方委員会は、保護観察所の長の申出により、少年院仮退院者が遵守事項を遵守しなかったと認めるときは、当該少年院仮退院者を少年院に送致した家庭裁判所に対し、これを少年院に戻して収容する旨の決定の申請をすることができる。ただし、二十三歳に達している少年院仮退院者については、少年院法第百三十九条第一項 に規定する事由に該当すると認めるときに限る。
第七十二条 前条の申請を受けた家庭裁判所は、当該申請に係る少年院仮退院者について、相当と認めるときは、これを少年院に戻して収容する旨の決定をすることができる。
(更生保護法)
2号観察の対象者が遵守事項に違反した場合、保護観察所長から戻し収容決定の申請→家庭裁判所の決定という手順を踏んで、少年院に収容される場合があります。決定するのは地方更生保護委員会ではありませんし、家庭裁判所は「決定をすることができる」だけで、いつも決定するとは限りません。選択肢3は誤りです。
選択肢4について
第六十六条 保護観察処分少年に対する保護観察の期間は、当該保護観察処分少年が二十歳に達するまで(その期間が二年に満たない場合には、二年)とする。ただし、第六十八条第三項の規定により保護観察の期間が定められたときは、当該期間とする。
(同)
1号観察については、例えば19歳で保護観察処分になると、20歳に達するまで1年しかない(2年に満たない)ので保護観察の期間は2年となり、20歳に達したあとも保護観察がなされることになります。
第四十条 仮釈放を許された者は、仮釈放の期間中、保護観察に付する。
(同)
第四十二条 第三十五条から第三十八条まで、第三十九条第二項から第五項まで及び第四十条の規定は、少年院からの仮退院について準用する。この場合において、第三十五条第一項中「前条」とあるのは「少年院法第百三十五条 」と、第三十八条第一項中「刑」とあるのは「保護処分」と、「犯罪」とあるのは「犯罪若しくは刑罰法令に触れる行為」と読み替えるものとする。
(同)
2号観察については、仮退院の期間が保護観察の期間になります。少年院の収容期間が満了するまで、ということで、原則としては20歳に達するまでです。
第百三十七条 少年院の長は、保護処分在院者が二十歳に達したときは退院させるものとし、二十歳に達した日の翌日にその者を出院させなければならない。ただし、少年法第二十四条第一項第三号 の保護処分に係る同項 の決定のあった日から起算して一年を経過していないときは、その日から起算して一年間に限り、その収容を継続することができる。
(少年院法)
例外は他にもあり、少年院の長が収容継続の決定を家庭裁判所に申請し、家庭裁判所が決定した場合には、収容期間が最大で26歳に達するまでとなります。ですから、20歳に達したあとも保護観察がなされる場合があります。選択肢4は正しいです。
選択肢5について
第五十二条 保護観察所の長は、保護観察処分少年について、法務省令で定めるところにより、少年法第二十四条第一項第一号 の保護処分をした家庭裁判所の意見を聴き、これに基づいて、特別遵守事項を定めることができる。これを変更するときも、同様とする。
2 地方委員会は、少年院仮退院者又は仮釈放者について、保護観察所の長の申出により、法務省令で定めるところにより、決定をもって、特別遵守事項を定めることができる。保護観察所の長の申出により、これを変更するときも、同様とする。
(更生保護法)
1号観察で特別遵守事項が定められることはありえますし、2号観察で必ず特別遵守事項が定められるとは限りません。選択肢5は誤りです。
正答4