第30回 問題85

第30回 問題85 社会調査における個人情報保護に関する次の記述のうち、最も適切なものを1つ選びなさい。
1 社会調査は公益性が高いため、調査で得られた個々の調査対象者の氏名、性別、年齢などの属性は、公表すべきである。
2 社会調査で得られたデータを共同研究者と検討する際には、調査対象者の意向にかかわらず、個人情報を秘匿しなくてよい。
3 社会調査の標本抽出が目的であれば、選挙人名簿あるいは住民基本台帳から自由に個人情報を得ることができる。
4 社会調査は、調査の目的、収集データの利用方法、そして結果の公表の方法をあらかじめ文書あるいは口頭で調査対象者に知らせ、了解を取ったうえで実施する。
5 量的な調査では、調査対象者の氏名や回答者番号が書かれた対象者リストと調査票を、一緒にまとめて管理しなければならない。

選択肢1について
適切ではありません。基本的には、調査結果は匿名化して統計的に処理するもので、個々の調査対象者の情報を公表することはありません。

選択肢2について
「調査対象者の意向にかかわらず」という部分が不適切です。共同研究者とデータを共有することはあるでしょうが、調査対象者が望まなければ個人情報は秘匿すべきです。

※共同研究者への個人情報秘匿については、第26回問題85選択肢1でも出題されました。

選択肢3について

選挙人名簿は、常に選挙人の目に触れさせることで正確さを期せるよう、その抄本を閲覧できるように定められています。
具体的には、次のような場合に閲覧できます。
(中略)
(3)統計調査、世論調査、学術研究その他の調査研究で公益性が高いと認められるもののうち政治・選挙に関するものを実施するために閲覧する場合

(なるほど!選挙 選挙人名簿、総務省ホームページ、http://www.soumu.go.jp/senkyo/senkyo_s/naruhodo/naruhodo07.html#chapter3

選挙人名簿を社会調査で閲覧できるのは政治・選挙に関する社会調査の場合のみに限られており、自由にやれるわけではありません。

第十一条の二 市町村長は、次に掲げる活動を行うために住民基本台帳の一部の写しを閲覧することが必要である旨の申出があり、かつ、当該申出を相当と認めるときは、当該申出を行う者(以下この条及び第五十条において「申出者」という。)が個人の場合にあつては当該申出者又はその指定する者に、当該申出者が法人(法人でない団体で代表者又は管理人の定めのあるものを含む。以下この条及び第十二条の三第四項において同じ。)の場合にあつては当該法人の役職員又は構成員(他の法人と共同して申出をする場合にあつては、当該他の法人の役職員又は構成員を含む。)で当該法人が指定するものに、その活動に必要な限度において、住民基本台帳の一部の写しを閲覧させることができる。
一 統計調査、世論調査、学術研究その他の調査研究のうち、総務大臣が定める基準に照らして公益性が高いと認められるものの実施
(以下略)
住民基本台帳法第11条の2)

住民基本台帳も、公益性が高いと認められる社会調査でなければ、閲覧することはできません。選択肢3は適切ではありません。

※選挙人名簿からの標本抽出については、第27回問題85選択肢1でも出題されました。

選択肢4について
適切です。

選択肢5について
対象者リストと調査票は、両方を保管しておく必要がありますが、一緒にまとめて保管しておくことは個人情報保護の観点から適切ではありません。別々に保管してあれば、万が一、片方が盗まれたとしても個人の調査結果は特定されず、被害が小さくて済みます。

第30回国家試験 問題85(社会調査の基礎)
正答4
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コメント

  1. おくちゃん より:

    来年の社会福祉士試験を受験のため、今から勉強を始めました。15年ぶりの再受験です。
    とても参考になります。
    ありがとうございます。