まず、誤差(error)とは、「測定や計算などで得られた値 M と、指定値あるいは理論的に正しい値あるいは真値 T の差 ε(Wikipedia日本語版)」で、社会調査においてよく話題になるのはそのうちの「標本誤差(sampling error)」です。
標本誤差(sampling error)とは
母集団のすべてを調査しないで、一部の標本を無作為抽出して調査した結果にともなう誤差である。つまり全数調査には存在せず、標本調査の持つ誤差である。
(調査・統計用語集 標本誤差、株式会社日経リサーチホームページ、https://www.nikkei-r.co.jp/glossary/id=1655)
例えば、ある小学校の6年生児童の平均身長を知りたいとして、全員の身長を測定すれば平均身長(理論的に正しい値)が計算できますが、時間がないので各クラスから10人ずつだけ無作為に選んで身長を測定して平均身長を算出した場合は、全員を測定した場合との「ずれ」が出ます。この「ずれ」が「標本誤差」です。
調査にともなう誤差の全体のうち、標本誤差は一部である。標本誤差以外のすべての誤差を非標本誤差という。全数調査には標本誤差はないが、非標本誤差はあり得る。
(同)
非標本誤差の1つに「測定誤差(measurement error / observational error)」があります。これは、測定のやりかたに起因する誤差です。上記の平均身長の例で言うと、身長計の台がずれていて全員の身長について実際より1センチ低い数値が出たとか、髪の毛が天然パーマでボリュームがある子と坊主頭の子で身長計と頭頂までの距離に幅があるとか、そういうことによる理論的に正しい値との「ずれ」が「測定誤差」です。
測定誤差は、標本調査だろうが全数調査だろうが生じますし、ある程度減らすことはできても、なくすことはできません。上記の例では、身長計の台のずれは、全員の結果の数値に1センチ足せば修正できますが、髪の毛のボリュームは人それぞれですし体調や時間帯にもよるので正確にどれくらいの「ずれ」であるかを測ることはできず、したがって修正も不可能です。
(国家試験での出題)
30-086、29-086(選択肢4)、25-085(選択肢1、2)