1 トレンド調査とは、同一対象者を継時的に追跡することを通じて、調査対象者の変化を知ろうとする調査法である。
2 同じ調査票を用いて、4月にR市、5月にS市で調査を行えば、縦断調査といえる。
3 パネル調査では、調査の回数を重ねるにつれてサンプル数が増加する。
4 横断調査は、ある一時点での特定の市で実施する市民意識調査は含まれない。
5 横断調査では、因果関係を特定するに当たり制約が伴う。
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横断調査は「ある一時点での」調査で、縦断調査は「いくつかの時点で」繰り返し調査します。
選択肢1について
トレンド(傾向)調査は、同一定義の集団を定期的に調査します。パネル調査は、固定した対象者を追跡します。(いずれも縦断調査です。)選択肢1の後半はパネル調査の説明になっており、トレンド調査の説明ではないので、適切ではありません。
選択肢2について
同じ調査票を用いても、4月と5月で対象者が違うと、それは縦断調査とはいえません。選択肢2は適切ではありません。
選択肢3について
パネル調査は、固定した対象者を追跡します。サンプル数が最初よりも減ること(パネルの摩耗)はありえますが、増えることはありません。選択肢3は適切ではありません。
選択肢4について
横断調査は「ある一時点での」調査ですから、「ある一時点での特定の市で実施する市民意識調査」も横断調査に含まれます。「含まれない」としている選択肢4は適切ではありません。
選択肢5について
適切です。横断調査は「ある一時点での」調査なので、調査で観測された現象に時間差がありません。2つの現象が同時に観測されたとして、関係があるのかどうかや、関係があるとしてもそのどちらが原因(先)でどちらが結果(後)なのかは確認できません。
例えば、ある一時点で、公共交通で通勤している人と、車で通勤している人の平均体重を調査したところ、公共交通で通勤している人のほうが平均体重が低いという結果が出たとします。「公共交通で通勤する人のほうがよく歩くので(原因)肥満になりにくい(結果)」という推測は可能ですが、この横断調査ではその因果関係を説明することはできません。もしかすると逆に「肥満でない人は体が動きやすいので(原因)公共交通で通勤する人が多い(結果)」かもしれませんし、そもそも歩くことと肥満は関係がなく、例えば「自家用車で通勤を許されるのは偉い人が多く、偉い人はこれまで付き合いの飲食が多いので(原因)肥満の人が多い(結果)」かもしれません。
正答5