ジェノグラム、エコマップ、ソシオグラムは、いずれも対象者の置かれた状況をわかりやすく可視化するアセスメントツールです。
ジェノグラムは、おおむね3世代にわたる家族間のかかわりを視覚化した、家系図のようなものです。ジェノ=geno- はgeneつまり「遺伝子の」という意味です。クライエントの家族のうち、女性を丸○、男性を四角□で表し、名前・年齢を記入します。クライエント本人は二重丸または二重四角で表します。人物間の夫婦関係、親子関係は横線や縦線で示します。亡くなっている人物にはバツ×をつけたり、黒く塗りつぶしたりします。
エコマップは、ジェノグラムの拡大版のようなイメージです。家族以外にも、クライエントや家族の周囲で関わりのある人、機関、組織などを大きめの丸で書き、「職場」「隣人」「親戚」「○○医院」「○○クラブ」「○○デイサービス」など名称を記入します。その後、クライエント家族と外部の丸の関係を線で結んで示します。「強い結びつき」であれば実線、「弱い結びつき」であれば破線、「軋轢のある関係」であればジグザグ線というように、線の種類で関係を区別します。
エコマップもジェノグラムもアセスメントのツールであると同時に、治療的な役割ももっている。それは、クライエントとソーシャルワーカーが、一緒にこれらを作成していくプロセスで、クライエント自身が自分の置かれている状況に気づき、その気づきを問題解決に結びつけていけるからである。
(社会福祉士養成講座編集委員会編、『新・社会福祉士養成講座7 相談援助の理論と方法I』、第2版、中央法規出版(2013)、p.190)
ジェノグラムやエコマップは、クライエントからきいた話をききながら、その場で一緒に作成することが多いです。また、クライエント1人だけに話をきけば作成することができ、周囲の人から情報を集める必要はありません。
一方、ソシオグラムは、1人からの聞き取りでは作成することができません。ソシオ=socio- は「社会の」ですから、最低でも2人から情報を得る必要があります。
グループのメンバー間の関係パターンを、相互作用を示すシンボルを用いて図形化することをソシオグラムという。
(前掲書、p.89)
「相互作用を示すシンボル」だとわかりにくいですが、例えば、一方的な関心があるなら矢印、相互に関心があるなら両端が矢印になった線、好意があるならハート、など関係を記号で表すということです。ドラマの人物相関図のようなイメージです。
1 ソシオグラムとは、成員間の選択・拒否関係を図式化して、小集団における人間関係の構造を明らかにするためのものである。
(選択肢2から5 省略)
選択・拒否というと難しそうですが、好き・嫌いと考えるとわかりやすいかと思います。例えばAさん~Eさんからなる5名のグループのソシオグラムを描くとすると、5名全員に、自分以外の4名について「好きですか、嫌いですか」という質問に答えてもらわなくてはなりません。その答えをもとに、人物5名を丸や四角で表し、それぞれについて、他の4人と線で結んで関係を表します。片方が相手のことを好きでも相手は拒否している、互いに拒否している、互いに好きである、という関係を、矢印や線の種類で表現し、気持ちの強さは線の太さなどで表現できます。
ソシオグラムは、小集団のメンバー全員が質問に答えてくれなければ作成できません。また、メンバーが質問に正直に答えているかは確認のしようがないので、メンバー間の関係を完全に明らかにすることはできません。
グループワークの参加者などで、普段は仲良くしているが本当はAはBを拒否している(嫌いだ)ということを参加者が知ると、関係が悪くなりその後のグループワークに影響を与えることも考えられます。ソシオグラムは、援助者(グループワーカー)がクライエント集団の関係を理解するために役立てるのみで、クライエント(グループワークの参加者)と一緒に作成することはあまりないと思います。
(国家試験での出題)
29-118(選択肢4、選択肢5)、28-118(選択肢2、選択肢3)、27-103(選択肢1、選択肢3、選択肢4)、27-117、24-094(選択肢1、選択肢3、選択肢5)、23-083(選択肢3)