ブースとラウントリー

ブース(Booth, C.)といえばロンドン調査、ラウントリー(Rowntree, B. S.)といえばヨーク調査です。2人とも1900年前後にイギリスの街で労働者階級の生活を調査しました。

ロンドンはイギリスの首都なので知名度も高いですが、ヨークについては位置がよくわからない人も多いのではないでしょうか。まあ社会福祉士の国家試験には地図や写真などは出てこないので知らなくても大丈夫ですが。

調査した地域は違っていますが、ブースもラウントリーも調査した結果「人口の約3割が貧困線以下の生活をしている」ことを明らかにしました。

ブースについて有名なのは、貧困の原因が個人的な問題(浪費しているとか)よりも、雇用や環境の問題にあると言ったことです。『ロンドン民衆の生活と労働(Life and Labour of the People in London)』という本を書きました。なおブースが作ったロンドンの「貧困地図」は、London School of Economics and Political Science(LSE)のCharles Booth Online Archiveで見ることができます。

Charles Booth Online Archive
http://booth.lse.ac.uk/

ラウントリーは、『貧困:都市生活の研究(Poverty : A study of town life)』という本を書きました。肉体的能率を維持するために必要な【栄養量に】注目して、「第一次貧困」「第二次貧困」を定義しました。第一次貧困は、収入が肉体的能率を維持するのに必要な最低限度の栄養も取れないくらい低い家庭です。第二次貧困は、かろうじて最低限度の栄養が取れるくらいに収入が低い家庭です。要するに、食うに困っているのが第一次、ぎりぎり生活できているのが第二次です。

国家試験では、ラウントリーが「収入に」注目したとか、タウンゼントの「相対的剥奪」とごちゃ混ぜにして、出題されたことがあります。

余談ですが、Wikipedia(英語版)によるとブースのおうちは海運会社経営、ラウントリーのおうちはチョコレート会社経営。貧困を研究した社会学者であると同時に、汗を流して働かなくても食べていける家の生まれだったようです。たしかに、お金持ちでないと、研究なんてしている余裕はなかったでしょうね…

(国家試験での出題)
28-024(選択肢3)、27-063(選択肢3)、26-021(選択肢1・2)、23-026(選択肢1・2)、22-023(選択肢3)、22-056(選択肢2)

広告
広告