「有病率(ゆうびょうりつ)」「罹患率(りかんりつ)」という言葉は、日常生活ではあまり使うことがないと思います。医療関係の社会福祉士の現場でもそうそう使わないと思うのですが、そんな言葉でも国家試験に出てくることがあります。
有病率について
有病率は、ある一時点において、疾病を有している人の割合である。
集団の特定の時点での健康問題の大きさをはかり、その対策を立てるなど、行政面で有用な指標である。
(有病率と罹患率、疫学用語の基礎知識、一般社団法人日本疫学会ホームページ、http://glossary.jeaweb.jp/glossary016.html)
罹患率について
罹患率は、一定期間にどれだけの疾病(健康障害)者が発生したかを示す指標であり、発生率の一種である。
罹患率が上がるときには、なにかその裏に隠された原因(発生要因)がある場合が多い。したがって、罹患率は疾病と発生要因との因果関係を探る場合に有用な指標である。
(同)
引用元のページには、計算の式も書いてあるので見てみてください。
有病率も罹患率も、ある集団の健康をはかる指標になる数値です。有病率は「ある一時点」で決まる一方、罹患率は「ある一定期間」で決まることに注意しましょう。ある一定期間の有病率とか、ある一時点の罹患率とかはありえません。
国家試験での出題では、そこまで詳しい区別を知らなくても解ける内容でした(正しい選択肢が引っかけもなく明らかに正しい選択肢だったので)。受験生を「えっコレ何?知らない?!」と動揺させるために難しげな雰囲気の単語を誤りの選択肢にまぜてきただけという感じがします。
(選択肢1・2 省略)
3 集団の健康を図る指標に罹患率は用いられない。
(選択肢4・5 省略)
罹患率は集団の健康をはかる指標に「なる」のですから、「用いられない」としている選択肢3は誤りです。
ちなみに、細かいことですが、健康を「はかる」を「測る」ではなく「図る」という漢字にしたのはどういう意図があるのでしょうね?健康の「向上を目指す」ということでしょうか。まあ単なる変換ミスという可能性もありますが(笑)
(国家試験での出題)
26-003