「アクティベーション」という用語は、第27回で出題されるまであまり注目されていなかったと思います。教科書の索引では見つからなかったので、いわゆる「受験勉強」をしないと対応できません。
新カリキュラムになってすぐの国家試験に出たことのある「ワークフェア」、直訳でもなんとなく意味がとりやすい「ベーシックインカム」と並ぶ、労働・雇用・福祉政策のようです。
社会保障と雇用のつなぎ方として、「ワークフェア」、「ベーシックインカム」、「アクティベーション」の3つのオプションがあります。日本としては、北欧型アクティベーションに注目しながらも、その限界も踏まえた上で日本型アクティベーションをどう構築していくかを考える必要があります。
(宮本太郎、生活保障の再生とアクティベーション、BBL議事録 (2010年4月26日)、RIETI 独立行政法人経済産業研究所、http://www.rieti.go.jp/jp/events/bbl/10042601.html)
ワークフェアは「失業者の救済のため給付をするが、給付を受けるには就労・求職活動・職業訓練などをすることが条件」であるのに対し、アクティベーションは「失業者の救済のために、職業能力の向上を目指す支援(職業訓練や求職支援)」をする政策です。
アクティベーション
失業者に対して、社会の労働需要に適合できるように、職業能力の向上を支援して、職業訓練を提供したり、求職活動の支援を行う就労支援策です。基本的に、ワークフェアのように就労を義務付けたり、受給者に対して制裁を課したりという考え方ではありません。職業訓練のプログラムへの参加は、失業者の自発的意思によることを前提としています。(張百々代、張先生の受験対策講座 第13回 出題範囲とポイント(11) 現代社会と福祉、けあサポ、http://www.caresapo.jp/juken/seishin/hari-kouza/13766/3)
職業訓練の提供や求職活動の支援…って、それは、普通に就労支援政策としていろんな国でされていることなのでは?と思いますが、activateは「活動的にする」という意味なので、「職業能力の向上」という部分が重要なのだろうと思います。
ベーシックインカムは「条件なしにすべての人に最低所得を給付」という政策で、就労と福祉を結びつけるワークフェア、アクティベーションとは明確な違いがあります。一方、ワークフェアとアクティベーションは、別物と言っても近いところはあるようです。歴史的には、ワークフェアが先で、ワークフェアの問題点をカバーする方策を!という流れでアクティベーションの考え方が出てきました。
(国家試験での出題)
27-031、22-027(選択肢3、選択肢5)
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