「ジニ係数」について、教科書では
社会における所得分配の不平等さを測る指標
(社会福祉士養成講座編集委員会編『新・社会福祉士養成講座4 現代社会と福祉』、第3版、中央法規出版(2013)、p.294)
とだけ書いてありましたが、これまでの国家試験では、とりうる値の範囲や、値のもつ意味を知っていないと正誤判定ができないような出題がされています。
Wikipediaによるとジニ係数は
1936年にイタリアの統計学者、コッラド・ジニによって考案された。
(ジニ係数、Wikipedia日本語版、https://ja.wikipedia.org/wiki/ジニ係数)
とのことで、「ジニ」というのは人の名前だということがわかります。
ローレンツ曲線と均等分配線(きんとうぶんぱいせん、英: line of perfect equality)によって囲まれる領域の面積と均等分配線より下の領域の面積の比として定義される。
(同)
などという難しい定義を読んでも何のことかわかりませんが、ものすごくざっくりまとめると「ジニ係数は面積比」ですから、その値は必ず0から1の間です。
ある集団のジニ係数の値が大きい(1に近い)ほど、その集団は格差が大きく、値が小さい(0に近い)ほど、格差が小さいということを示しています。
日本を一つの集団とみたときのジニ係数は、厚生労働省が調査しています。2016年9月15日付で公表された「平成26年所得再分配調査報告書」によると
今回調査では当初所得のジニ係数0.5704に対して、再分配所得のジニ係数は0.3759
(厚生労働省政策統括官(総合政策担当)、平成26年所得再分配調査報告書、http://www.mhlw.go.jp/file/04-Houdouhappyou-12605000-Seisakutoukatsukan-Seisakuhyoukakanshitsu/h26hou.pdf、p.6)
ということでした。社会保障制度(所得の再分配)によってジニ係数が減少、つまり格差が改善されているということになります。
なお、同報告書によると、当初所得のジニ係数はここ12年のあいだ増加しています。つまり、格差が広がっているということです。
(国家試験での出題)
29-015、28-026(選択肢2、選択肢3)、27-063(選択肢2)、26-021(選択肢3)