過去問を解いていて「ピアソンの積率相関係数」に出くわしたとき、「相関係数なら統計学で出てきたけど、ピアソンの?積率?」と思いました。調べてみると、単に「相関係数」というときにはたいてい「ピアソンの積率相関係数」を指すのだとわかりました。
統計学は、私は大学の教養科目として学びましたが、今の脱ゆとり教育では中学でも学ぶらしいです。中学でヒストグラムを描き、高校では箱ひげ図を描いたり、相関係数を求めたりするそうです。
相関係数とは何かについては、各自お使いの教科書・参考書等に載っていると思うので詳しい説明はそちらに譲ります。手軽に知りたい方はWikipediaで「相関係数」でも見てみてください。
ここでは、国家試験の出題に沿ってポイントを押さえたいと思います。
ピアソンの積率相関係数がゼロの場合「無相関」(相関関係はない)と言います。ただし、相関関係がないからといって、「何の関係もない」とは言い切れません。相関関係がないだけで、関係はあるかもしれません。
また、相関係数が大きくても直接の関係はないということはあり得ます。詳しくは「疑似相関」または「見かけの相関」で調べてみてください。
ピアソンの積率相関係数は、それぞれの変数の測定単位が変わっても、相関係数の絶対値は変わりません。
「変数Xと変数Yに正の相関が、変数Yと変数Zにも正の相関がある場合でも、変数Xと変数Zに相関が存在しない」ということはあり得ます。例えば、Xがある人の年齢、Yがその人の給料、Zがその人が趣味にかけるお金とします。年配の人ほど給料が高い、給料が高い人ほど趣味にお金をつかう、という関係があると考えられますが、年配の人ほど趣味にお金をつかうとは限りません。
なお、相関関係は、因果関係とは異なることに注意しましょう。地球温暖化(年平均気温や海水温の上昇)と、大気中の二酸化炭素濃度には「相関関係がある」と言われていますが、どちらが原因なのかははっきりしていないそうです。一般的に「二酸化炭素がふえたため(原因)、地球温暖化が引き起こされた(結果)」と言われていますが、「地球が温暖化したため(原因)、二酸化炭素がふえた(結果)」のかもしれません。
(国家試験での出題)
22-079