1 単純無作為抽出法は、母集団の規模にかかわらず作業時間が節約できる効率的な抽出法である。
2 系統抽出法では、抽出台帳に何らかの規則性がある場合、標本に偏りが生じる危険がある。
3 標本抽出では、男女別や年齢別の割合など、あらかじめ分かっている母集団の特性を利用してはならない。
4 用いる尺度の問題から測定上の誤差が生じることを標本誤差という。
5 機縁法は確率標本抽出の一種である。
選択肢1について
「母集団の規模にかかわらず」という部分が正しくなく、選択肢1は誤りです。
選択肢2について
<系統抽出の手順>
1.抽出間隔(インターバル)を決める
2.無作為開始点(ランダム・スタート・ポイント)を決める
3.無作為開始点から抽出間隔ごとに、要素を所定数に達するまで抽出する(系統抽出、調査・統計用語集、株式会社日経リサーチ、https://www.nikkei-r.co.jp/glossary/id=314)
母集団に通し番号を打って、抽出間隔と無作為開始点を決めて抽出していきます。このやり方の場合、例えば抽出台帳が男女男女男女…という順の規則性のあるリストだった場合、抽出間隔を10、無作為開始点を3とすれば、抽出されるのは3、13、23、33、43…という具合に奇数番号のみで、「標本は全て男」という偏った状態になります。選択肢2は正しいです。
選択肢3について
母集団が、あらかじめ割合が知られているいくつかの層(男性と女性、あるいは10代、20代といった年齢階級別の層)に分けられる場合には、それらの層ごとに標本の無作為抽出を行う「層化抽出法(「層別抽出法」とも呼ばれる)」を行うとよい。
(社会福祉士養成講座編集委員会編、『新・社会福祉士養成講座5 社会調査の基礎』、第3版、中央法規出版(2014)、p.59)
あらかじめ分かっている母集団の特性を利用するのが有効な場合もあります。選択肢3は誤りです。
選択肢4について
標本誤差とは母集団のすべてを調査しないで、一部の標本を無作為抽出して調査した結果にともなう誤差である。つまり全数調査には存在せず、標本調査の持つ誤差である。
(標本誤差、調査・統計用語集、株式会社日経リサーチ、https://www.nikkei-r.co.jp/glossary/id=1655)
選択肢4は誤りです。
選択肢5について
機縁法
snowball sampling非確率抽出法の1つ。知人の紹介に頼って標本を集める方法。縁故法、紹介法ともいう。特に紹介をつないでいく方法を雪だるま法(snow-ball sampling)という。
(機縁法、統計用語集、BellCurve統計WEB、https://bellcurve.jp/statistics/glossary/7362.html)
機縁法は「非」確率抽出ですから、選択肢5は誤りです。
なお、スノーボールサンプリングは「調査対象者に次の調査対象者を紹介してもらう」という点では機縁法の性質をもちますが、「最初の調査対象者は無作為抽出で選ぶ」としている資料がちらほらみられ、機縁法とスノーボールサンプリングは全く同じものとはいえないようです。
正答2