第29回 問題103

第29回 問題103 事例を読んで、この場面におけるM福祉活動専門員(社会福祉士)によるAさんへの初回訪問時の対応として、最も適切なものを1つ選びなさい。
[事例]
 Aさん(73歳、女性)は、自宅で一人暮らしをしている、6年前に夫を亡くし、一人息子とは疎遠になっている。Aさんは、数年前から食べ残しの物などを自宅に溜め込むようになり、庭にまでゴミが山積みとなって、悪臭を放っている。近隣住民は、Aさんに片付けるように何度も申し入れたが、Aさんは一向に片付けようとはしない。役所も、勝手に片付けることはできないでいる。そこで、社会福祉協議会のM福祉活動専門員がAさん宅を訪問した。

1 近隣住民の迷惑となっていることを自覚しているか尋ねる。
2 何かお困りのことはありませんかと問いかける。
3 不要な物が火災の原因となる可能性があることを伝える。
4 親族である息子と一緒に、不要な物を処分するように伝える。
5 なぜ、こんなにたくさんの物を溜めたのか理由を尋ねる。

いわゆる「ゴミ屋敷」のケースです。客観的には「ゴミが山積み」としか見えないのですが、住んでいる本人にとってはゴミではありません。なんらかの理由で、ゴミではない、捨ててはいけない、必要なものだと認識しているがゆえ、溜め込んでしまうのです。

問題文に「初回訪問時の対応として」とありますから、ラポール(信頼関係)の形成が第一優先です。情報収集(アセスメント)は二の次です。そう考えれば、選択肢2が正答だとわかると思います。

選択肢1、3、4はいずれも、「迷惑」「不要な物」という前提で話をしており不適切です。Aさんの行動を非難しているように受け取られたら、ラポール(信頼関係)は形成できません。

選択肢5は、不要とかゴミとか言わずに「たくさんの物」と表現している点は評価できますが、「最も適切なものを1つ」選ぶとなったら、やはり選択肢2が優先です。Aさんとラポール(信頼関係)の形成が十分にできた後で、情報収集の一環として、Aさんにとって「たくさんの物」がどういう意味をもっているのか、話をきいてみる(選択肢5の)段階に進むということは考えられます。

第29回国家試験 問題103(相談援助の理論と方法)
正答2
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