1 コンティンジェンシー理論では、特定のリーダーシップ行動の普遍的有効性を重視する。
2 行動アプローチでは、リーダーシップという影響力の実体をリーダー個人の身体的・精神的資質として捉える。
3 変革型リーダーシップ論では、メンバー個々の動機づけや知的刺激を排除するリーダーの行動を重視する。
4 リーダーシップの特性論では、課題志向型と人間関係志向型の二つの行動を重視する。
5 フォロワーシップ理論では、フォロワーの自律性を引き出すリーダーの役割を重視する。
選択肢1について
条件適合理論(コンティンジェンシー理論)
(中略)
条件適合理論には、このほか、「SL理論」「規範的意思決定モデル」などがあるが、いずれも、行動理論の知見(「不動の二次元」)に則りつつ、リーダーシップの発揮する条件によって、どういう行動が最適かを理論化したものである。(社会福祉士養成講座編集委員会編『新・社会福祉士養成講座11 福祉サービスの組織と経営』、第4版、中央法規出版(2014)、pp.106-107)
コンティンジェンシー理論(条件適合理論)では、どんな状況にも万能なタイプのリーダーシップというのは存在せず、どういう条件かによって最適なリーダーシップのタイプは違ってくる、と考えます。選択肢1は適切ではありません。
※関連記事(SL理論)
選択肢2について
リーダーシップ理論は、さまざまな現存するリーダーを研究し、リーダーでない人との比較で、共通の資質を明らかにしようとする「特性理論」から始まった。この特性理論の原型は、ウェーバー(Weber, M.)の支配の三類型のうち、個人の非日常的資質に基づく「カリスマ的支配」に見出すことができる。
しかし、「特性理論」の研究からは、「生まれついてのリーダー」の資質について、共通の認識をつくるに至らず、次第にリーダーシップの研究の対象は、リーダーとしての「行動」や「態度」に向かうようになった。(同、p.104)
リーダーシップという影響力の実体をリーダー個人の資質としてとらえるのは、特性理論であって、行動理論ではありません。選択肢2は適切ではありません。
選択肢3について
1980年代から1990年代にかけて、新たに「変革型リーダーシップ」あるいは「カリスマ的リーダーシップ」に関する理論が生まれた。これらは、進むべき目標(ビジョン)を示し、自らがリスクを背負い、並はずれた行動をとる一方で、条件や環境に適合し、フォロワーの能力や感情に配慮できるリーダーシップを指している。(中略)フォロワーの能力や感情を「条件」としてリーダーシップ行動を変えるのではなく、フォロワーの自尊心と自信を高めることを通じて影響を与えるところは、フォロワーシップの重要性を意識したものといえるかもしれない。
(同、p.107)
変革型リーダーシップは、フォロワーの能力や感情に配慮するもので、「排除」としている選択肢3は適切ではありません。
選択肢4について
行動理論の研究は、唯一絶対のリーダーシップ行動を明確にしようとし、一定の結論を導いてきた。そして、「配慮行動」と「課題直結行動」の両立、あるいは「配慮行動」の優越性を見出してきた。
(同、p.106)
課題志向型(課題直結)と人間関係志向型(配慮)の二つの行動を重視するのは、特性理論ではなく行動理論です。選択肢4は適切ではありません。
選択肢5について
リーダーとメンバー(リーダーシップ理論では通常「フォロワー」と呼ぶ)の関係に着目した理論や、フォロワーそのものに目を向けたフォロワーシップ理論が生まれてきて、注目を集めている。また、例えば、「共有されたリーダーシップ」、コネクテッド・リーダーシップなどは、フォロワーの自律性やリーダーシップのシェアを強調する考え方として注目されている。
(同、p.107)
選択肢5は適切です。
正答5