「波長合わせ」とは、シュワルツ(Schwartz, W.)がグループワークの1段階として提唱したものですが、今では相手がグループか個人かを問わず、面接のプロセスの一つととらえられています。
波長あわせ(tuning-in)
ソーシャルワーカーが,個人やグループと面接するにあたり,事前にクライエントの考えや気持ちなどについて想像することや,情報がある場合はそれらを参考にすることで,面接時にクライエントに共感できるよう準備すること。波長合わせをすることでソーシャルワーカーは,クライエントの反応にどのように対処するか,また面接やグループワークをいかに展開していくかを準備できる。スーパービジョンにおいても,スーパーバイザーはスーパーバイジーにむけて波長合せを行う。(社団法人日本社会福祉士養成校協会、わが国の社会福祉教育,特にソーシャルワークにおける基本用語の統一・普及に関する研究報告書、2005(平成17)年3月、http://jaswe.jp/researchpaper/h15_yougo_report.pdf、p.19)
私は「波長合わせ」という日本語訳がしっくりこず、英語 tuning-in のほうがわかりやすいと感じています。ラジオのように、「いろいろな周波数の電波が飛んでいるなかで、ワーカー自身のダイヤルを調整して、今回のクライエントの周波数に合わせて(チューニングして)、最適な受信環境を準備しておく」ということです。
波長合わせと混同されやすいものとして、アイスブレイキング(グループワーク開始時の、メンバーどうしやワーカーが打ち解けるためのプログラム活動)があります。これは、参加者の緊張をほぐすための自己紹介や簡単なゲームなどのことです。緊張で固まった心を氷(アイス)に見立てて、それを打ち砕く(ブレイク)ことです。その後のグループワークを円滑に進めるための準備という点では波長合わせと共通していますが、波長合わせは参加者どうしが顔を合わせる前のワーカーの準備であるのに対して、アイスブレイキングは参加者どうしが顔を合わせてからの活動です。
(国家試験での出題)
29-115、27-112(選択肢1)、25-116(選択肢1)